『黒田寛一初期論稿集』全7巻のご紹介
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◆体裁 四六判上製カバー装/平均350頁
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◆刊行にあたって 黒田寛一著作編集委員会 |
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マルクス思想を《いま・ここ》に甦らせんと、全生涯をそのための理論追求と実践に捧げた盲目の唯物論者・黒田寛一。没後に数多く遺された論稿のうち一九五六年を前後する時期までの未定稿やノートを中心とし、黒田じしんによる生前の構想にふまえ、私たちは『黒田寛一初期論稿集』全七巻を編み、ここにお送り致します。危機を深める二十一世紀現代世界の根源を照らしだし、変革の道筋をみいだすうえで不可欠の思想的・理論的な武器の宝庫として。 |
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◆各巻の目次 | |
第一巻 哲学と人間の探求 ――疎外された唯物論者の叫び ( ’53年10月~ ’55年1月) A 哲学の凋落 |
第五巻 「技術論と史的唯物論」ノート ( ’50年4月~ ’54年12月)
史的唯物論の基礎としての技術論 ’50年~’51年 |
第二巻 唯物弁証法・論理学 ( ’52年11月~ ’61年2月) 現段階における論理学研究の盲点 ’61年 |
第六巻 人間と文学 ――芸術・表現論の探求 ( ’54年2月~ ’60年12月)
人間と文学―哲学と文学との結び目 ’54年~’55年
第七巻 断絶と飛躍 ――スターリン批判とハンガリー労働者蜂起 ( ’56年1月~ ’57年4月)
雪崩の寸前のごとき静寂と沈黙 ’56年 ―トロツキストK・Tとの出合い ’56年 ―『スターリン主義批判の基礎』あとがき・追記 ’56年
他、未発表の論稿・ノート多数。
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第三巻 「イデオロギー論」ノート ( ’48年12月~ ’58年2月)
イデオロギー ’48年~’49年 |
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第四巻 「自然弁証法」ノート ( ’50年1月~ ’55年7月)
自然弁証法―「解釈学」的覚え書き ’50年 |
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◆推薦のことば | |
刻み込まれた思索のエッセンス 柴田高好(東京経済大学名誉教授) 『黒田寛一初期論稿集』全七巻の刊行を賀し、ここに強く推奨いたします。 「初期云々」と聴くと私などは直ぐ 初期マルクスを連想してしまいます。「ドイツ・イデオロギー」以前専ら政治学批判に集中していた頃の「ヘーゲル国法論批判」や「ユダヤ人問題」(一八四三年)そして「近代国家論プラン」(一八四四年)等です。今回の黒田寛一(黒寛)の初期論稿は、人間論、論理学、イデオロギー論、自然弁証法、史的唯物論、 文学・芸術論、最後にスターリン主義批判と多岐に亘る多彩な未発表論文で、いずれもマルクスと同じく若き黒寛の思索のエッセンスが刻み込まれています。当時静岡にいた私が彼と文通したのは一九五八年頃(『探究』覆刻版第二分冊81頁)で、特に彼の〈下向―上向〉の弁証法(第三分冊の7)に深く学びました。 今若し存命なら国家論で国家の止揚に関して是非黒寛の意見をきかせてもらいたいものをと、衷心残念でなりません。
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黒田寛一を思う 鶴見俊輔(哲学者) 黒田寛一氏は、スターリン思想にのみこまれないマルクス主義の系譜をつくろうとしていたのではないか。はじめての接触から六十年たった今、そう思います。 六〇年の安保闘争のころ、国会のまわりをまわった時代の、党派とかかわりなく、ひろい意味での仲間として、この間に、敵意を示されたことがありません。 このことにたちもどって、そこから考えはじめてよいものが、あると思います。 二〇〇九年五月二十一日
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永(とこしえ)の青春論集 山田宗睦(哲学者) マルクスもそうだし、ヘーゲルにも、初期論集というのがある。本人たちが大成して、資本論とか大論理学といった代表作ができても、初期論集には代表作の萌芽、つまりは発端が見えるだけではなく、代表作には延びていかない、別の可能性を示すアイデアが鏤(ちりば)められている。それは、たぶん、永遠の青春とよばれるものとかかわっている。 こんど黒田寛一の初期論稿集が出版されるという。彼が谷村和平の名で、民主主義科学者協会(民科)哲学部会に初めて出てきたとき、私は部会の幹事役をしていたから、いろいろのことを論じ あった。谷村の一途な、ときに激しい主張の中に、同世代の若者が負う、若者だけが感じ取る、次の時代への予見や可能性を感じることがあった。 若いマルクス、若いヘーゲルについての著作は多い。黒田寛一についても、若い黒田寛一が感取した多様な可能性を見出すのに、この初期論稿集は、大いに役立つだろう。
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「統一体質」新生の礎(いしずえ)として 小宮山量平(『ヘーゲルとマルクス』編集者) 戦後の一時期、新しい群小の思想展開の 「成果」のみを、もっぱら評価し撰択し同調しようとする者たちと、さまざまな思想発展の一歩一歩の「過程」そのものに対しつぶさに注目し、共感し、同調しようとする者たちとが、烈しく対立し、遂に分裂して、闘わねばならないという時代が、確かにありました。 その時期に、ともすれば性急に多数派形成にいそしむグループ的な情念の主流派に対し、むしろ沈思黙考に沈潜しがちな少数派形成の主体的思索とが、心ならずも袂(たもと)を訣(わか)つような時期がありました。この時期には若い黒田寛一(ひろかず)が、先ずは「ヨク考エテ」とマルクス主義本来の思想形成の本すじに血涙にみちた情念を注いだものです。そして今、あれから半世紀余も経て、世界も、日本も、あのみずみずしい情念の疼(うず)きを、それぞれに祖国の戦闘的な熱(あつ)い「統一体質」新生のエネルギーとして、かえりみるべき時を明るく迎えつつあると思うのです。
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◆著者紹介 | |
黒田寛一(くろだ かんいち 1927年~2006年) |
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◆主要著書 『社会の弁証法』、『現代唯物論の探究』、『マルクス主義の形成の論理』、『現代における平和と革命』、『組織論序説』、『宇野経済学方法論批判』、『スターリン批判以後』全二巻、『日本の反スターリン主義運動』全二巻、『ゴルバチョフ架空会談』、『賃金論入門』、『場所の哲学のために』全二巻、『黒田寛一初期セレクション』全三巻、『実践と場所』全三巻(以上、こぶし書房)、『マルクス ルネッサンス』、『ブッシュの戦争』、『組織現実論の開拓』全五巻 ―刊行中(以上、あかね図書)、ほか多数。 |